大島優子×秋元康 宣言直前の卒業

秋元康AKB48ができてあと2年で10年だ。優子も卒業を考えているんじゃないの。

大島優子:はい。

秋元:どういうタイミングで卒業したいと思うの?

大島:うーん。ひとつじゃないです。いろんなものが合わさっています。まず自分自身のことを考えると、これ以上、ここで新しい自分が見せられないかもしれないと思ったとき。

秋元:なるほど。

大島:私がいるままだと、どうしても席が空かない、というのも大きいです。あっちゃん(前田敦子)が「後輩のために道を作る」と言って卒業した時、私は正直「それは違うよ」と思っていたんです。前田敦子という座席を譲られて誰かが入るんじゃなくて、「奪い取るものだ」って私のスピリットとして思っていた。でもあっちゃんが言っていた通り、先輩として譲るべきことかもしれないと、変わってきました。先頭を走ってAKB48を作ってきたメンバーから、その座席を奪い取るのは相当難しいこと。だからその座席を明け渡すということが、先輩の責任、そして後輩のため、ということをいまはすごく考えています。

秋元:確かにそうだね。

大島:ファンの方のためというのもあります。ファンの方の中には、AKB48のステージで踊っている私がすごく好きっていう人もいれば、女優業だけをやってほしいという人もいる。そう考えたら、すごく悩みます。でも秋元さんは、AKB48は「いつでも戻って来られる場所だ」って常におっしゃってくれている。だから、ひとまず出てみるという考え方もあるのかなって思っています。

秋元:卒業するメンバーはまず自分のことだけを考えたほうがいい。大島優子の次の人生のために卒業するんだ。あとは、そのタイミングをいつにするかってことだけだと思う。優子がAKB48を卒業して女優業で活躍すれば、それだけでもうAKB48に貢献していることになる。

大島:それはそう思います。

秋元:優子が活躍すればするほどAKB48のメンバーは「次の大島優子」を目指すし、いずれ「卒業したい」と思う。

大島:はい。

秋元:優子が、自分の抜けた穴がどう埋まるのか、というのは考えなくていいんだよ。大島優子の穴も、前田敦子の穴も、絶対に埋まらない。大島優子っぽい、すごく元気でなんでも全力なやつも、あるいは前田敦子のように気難しくて、でもなんか不思議な魅力を持っている子が現れる、なんてことも絶対ないんだ。でも、それでいい。AKB48のような団体では不思議な化学反応が起きて、大島優子でも前田敦子でもない、指原莉乃みたいなやつがぴょんと出てくるんだ。優子というピッチャーがいなくなっても、さっきまでサードを守っていたやつがマウンドに行く。それがAKB48

大島:私が「後輩のため」って言うのは単に優しいわけではなくて、私がいなくなったポジションを巡って、みんながしのぎを削ってほしいと思ってます。みんなが「やった、空いた!」って思って奪い合い、ぶつかり合うのを楽しみにしてるんです。

秋元:僕の予想ではそれは、ない。

大島:えー!

秋元:大島優子の存在が大きすぎる。「しめた」と考えるのは指原くらいだと思う。

大島:まゆゆ渡辺麻友)も思わないかな?

秋元:まゆゆも、やや思う。

大島:やや(笑)。

秋元:でもまゆゆはとても頭のいい子だから、「空いた」と思うと同時に、そこに自分が入ってAKB48グループがパワーダウンしないかなって考える。その不安が指原にはない。

大島:確かに。

秋元:指原はグループのパワーがダウンしようが、自分がそこの中心でありたい人。

大島:ハハハ。そんな感じも以前はなかったんですけどね。変わりました、いつからか。

秋元:あいつはおもしろいよ。

大島:わかります。私にはああいうやり方はできない。

秋元:ああいうやつは、ほかにいないんだって。

大島:ちなみに、私がAKBのなかで絶対にまねできないと思うのが小嶋陽菜です。あの生き方はすごい。ぬらりくらりと(笑)。

秋元:小嶋陽菜自己啓発本みたいなものを出せばいいよ。『小嶋陽菜の適当に生きなちゃい』みたいな(笑)。あの子は無責任なようで責任感があるし、責任感があるようで無責任。責任感の落としどころはすごいよ。

大島:絶妙です。

秋元:「AKB48グループドラフト会議」の時、あいつ途中でトイレに行ったんだよ。それからずっと僕の隣に座って見学してた。

大島:しかも携帯いじりながら(笑)。

秋元:それで、ステージ上でたかみな(高橋みなみ)が「それでは私たちのほうから歌を」と言い始めたら、「あ、行かなきゃ」ってあわててさ。

大島:そう、あわてて出てきた。でも小嶋陽菜だからすべて許される。そこが彼女のすごいところ。私は真逆のキャラクターだから、彼女がすごくうらやましいなって思ったことが、何度もありました。